ケリー・オルトバーグ氏がボーイング社の社長兼CEOに就任

News

2024年8月8日、ボーイング社の新しい社長兼CEO(最高経営責任者)にケリー・オルトバーグ氏が任命されました。

前任のデイブ・カルフーン氏の後任として、ボーイング社の取締役会によって選ばれ、ボーイングがエアバスに追いつくための戦略を進める中で、安全性と規制の課題を乗り越えるための重要なステップとして期待されています。

オルトバーグ氏は、航空宇宙産業協会(AIA)の前理事長で、航空宇宙業界で35年以上のキャリアがあります。
アイオワ州ダビューク出身で、アイオワ大学で機械工学の学士号を取得し、キャリアの初期には、テキサス・インスツルメンツでエンジニアとして働いた後、ロックウェル・コリンズ社に転職し、プログラム・マネージャーとしての役割を担い、2013年には同社のCEOに就任。
その後、ユナイテッド・テクノロジーズとRTXの合併を指揮し、2021年に引退しました。

オルトバーグ氏は、エアバスA350 XWB、ボーイング787、ボンバルディアCSシリーズの開発プログラムも監督していました。

ボーイング社は、アメリカ合衆国のイリノイ州シカゴに本社を置く、世界最大の航空宇宙機器開発製造会社で、民間航空機、軍用機、ミサイル、宇宙船などの設計・製造を行っています。

1916年にウィリアム・E・ボーイングとジョージ・コンラッド・ウエスターバレットによってアメリカのシアトルで設立され、設立当初は「B&W」という名前で、最初の製品はポンツーン(双フロート型の水上機)でした。
その後、社名は「Pacific Aero Products」に変更され、1917年に「ボーイング航空機株式会社(Boeing Airplane Company)」に改名されました。

第一次世界大戦中、ボーイングはアメリカ海軍用に、モデルCという練習機を生産し約700機を製造。
戦後、軍用機の需要が減少したため、ボーイングは郵便機の製造に注力し、シアトルとカナダのバンクーバー間で世界初の国際航空郵便輸送を開始。
ボーイングは商業航空機市場に進出し、1938年には世界初の与圧室を装備した旅客機ボーイング307を開発しました。

1950年代には、B-17などの軍用機も製造し、商業的には、ボーイング707の成功により、ジェット旅客機市場での地位を確立しました。
1997年には、マクドネル・ダグラス社を買収し、アメリカで唯一の大型旅客機メーカーとなり、現在、ボーイングは旅客機、軍用機、宇宙船などを製造し、エアバスとともに世界市場を二分する巨大企業として知られています。

民間航空機部門
ボーイング製の民間航空機は、737、747、767、777、787など、世界中の商業航空機の約半数を占めていて、貨物機の分野でも重要な役割を果たしています。
ボーイング737: 世界で最も多く販売されている旅客機で、737 MAXシリーズが最新モデルです。
ボーイング747: 「ジャンボジェット」として知られ、747-8が最新のバージョンです。
ボーイング767: 長距離の中型旅客機で、貨物機としても利用されています。
ボーイング777: 大型の双発機で、777Xが最新のモデルです。
ボーイング787 ドリームライナー: 高効率な中型旅客機で、787-10が最新のバージョンです。

防衛・宇宙・セキュリティ部門
この部門では、軍用機、衛星システム、有人宇宙船、無人システムなどの設計・製造を行っていて、各国の軍隊向けのプラットフォームや防衛システムの開発にも注力しています。
ボーイング CST-100 スターライナー: 商用の有人宇宙船。
衛星システム: 通信衛星や地球観測衛星など製造しています。

ボーイング社は、有限要素法(FEM)などの先進的な設計手法を導入していて、その技術は他の産業にも応用され、世界150カ国以上に製品とサービスを提供し、米国の最大の輸出企業の一つとして知られています。