パリ協定は各国に自主的な取り組みを促す

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パリ協定は、2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年に発効した気候変動問題に関する国際的な枠組みです。
この協定は、1997年に定められた京都議定書の後継となるものであり、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的取り決めです。

アメリカ合衆国は、トランプ政権時に一時離脱しましたが、バイデン政権下で2021年2月に正式に復帰しました。

パリ協定の主な特徴と目標は

•世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える努力をすることを掲げています。

•歴史上初めて、先進国だけでなく、途上国を含むすべての国が参加する公平な合意です。

•2023年以降、5年ごとに世界全体の進捗を確認する「グローバルストックテイク」が実施されます。各国は自国の削減目標を提出・更新することが求められています。

•今世紀後半には、温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成することを目指しています。

•先進国は途上国に対して、気候変動対策を実施するための資金支援を行うことを約束しています。

パリ協定は、気候変動問題に対する国際社会の関心の高まりを反映していて、締結国だけで世界の温室効果ガス排出量の約86%をカバーしています。
この協定は、各国のビジネスや社会に大きな影響を与え、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも密接に関連しています

パリ協定に基づいた日本の取り組みは

•温室効果ガス排出削減目標
中期目標としては、2030年までに2013年度比で温室効果ガスを26%削減することを目指しています。

•再生可能エネルギーの導入
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの利用を推進し、全国各地にこれらの発電施設を建設しています。

•省エネルギー技術の開発と普及
省エネルギー技術の開発やその普及を進め、エネルギー効率の向上を図っています。

•国際協力と技術支援
発展途上国に対して、資金や技術の提供を行い、温暖化対策を支援しています。

パリ協定の目標達成に向けて、日本は2050年までの長期的な温室効果ガス排出削減戦略を策定し、努力を続けています。

政府は、さまざまな民間セクターとの連携として、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)や気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)などの民間主導のイニシアティブと協力し、産業界の取り組みを促進しています。

日本の民間企業と政府の協力関係は

•日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)
Japan-CLPは、日本独自の企業グループで、持続可能な脱炭素社会の実現を目指しています。
このグループには、イオン株式会社、積水ハウス株式会社、富士通株式会社、株式会社LIXIL、株式会社リコーなど40社以上が参加しています。
これらの企業は、自社の温室効果ガス排出削減に向けた具体的な目標を設定し、政府への政策提言も積極的に行っています。

•気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)
Japan Climate Initiativeは、企業、自治体、NGOなどが参加するネットワークで、気候変動対策を推進しています。
事務局は、CDPジャパン、公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)、公益財団法人 自然エネルギー財団が担っていて、これらの主体が連携して脱炭素社会の実現を目指しています。

•政府の投資促進支援パッケージ
日本政府は、「世界全体でパリ協定の目標に取り組むための投資促進支援パッケージ」を公表し、脱炭素や適応に対する投資を促進するための基盤整備を行っています。
このパッケージは、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の推進にも貢献していて、民間企業と連携して気候変動対策を進めています。

•再生可能エネルギー100%(RE100)
株式会社リコーは、日本初のRE100加盟企業として、2050年までに自社の電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目指しています。
この取り組みは、政府の再生可能エネルギー推進政策と連携して進められています。

•清水建設株式会社の取り組み
清水建設株式会社は、「シミズ エコロジー・ミッション 2030-2050」として、SDGs(持続可能な開発目標)の目標13(気候変動に関する具体的な対策)を鑑み、国内全ての拠点における事業活動でのCO2排出量削減を目指しています。

パリ協定プロジェクトにおける日本の民間企業と政府の協力はさまざまで、企業の自主的な取り組みと政府の支援が相互に補完し合う形で進められています。