ブルーオリジンの超大型ロケット「ニューグレン」のミッション

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ジェフ・ベゾス氏の民間宇宙企業Blue Origin(ブルーオリジン)は、開発中の超大型ロケット「New Glenn(ニューグレン)」の初打ち上げを早ければ、2024年10月13日に実施すると発表しました。

名称の由来は、マーキュリー計画のジョン・グレン元宇宙飛行士です。

ニュー・グレンの初打ち上げミッションは、NASAの火星探査(火星の磁気圏と大気流出を調査)で、「ESCAPADE」の2機の探査機を打ち上げる予定です。

ニューグレンの基本情報と特徴

全長:98m(2段式で82m、3段式で95m)
直径:7m

打ち上げ能力
•地球低軌道へ45t
•静止トランスファー軌道へ13t
•第1段を再使用可能(最低25回の再使用を想定)
•世界で3番目に強力なロケットになる見込み(NASA SLS、SpaceX Falcon Heavyに次ぐ)

技術的特徴
第1段:BE-4エンジンを7基搭載(メタン/液体酸素推進)
第2段:BE-3Uエンジンを1基搭載(液体水素/液体酸素推進)
•大型の衛星フェアリング(直径7m)を採用し、大型衛星や多数の小型衛星の同時打ち上げに対応

NASAの火星探査ミッション
•ESCAPADEは火星の磁気圏と太陽風の相互作用を調査するミッション
•「Blue」と「Gold」2機の小型探査機を火星周回軌道に投入
•各探査機の重量は約535kg(燃料込み)

開発の経緯
•2012年から設計開始
•2016年9月に機体の詳細を初公開
•当初2019年頃の打ち上げを予定していたが開発が遅延

「ESCAPADE」のミッション概要

正式名称:Escape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers
2機の同一探査機「Blue」と「Gold」で構成
NASAの小型革新的惑星探査ミッション(SIMPLEx)プログラムの一環

主な目的
火星の特殊な混成磁気圏の構造とイオンの流れを制御するプロセスの解明
太陽風からのエネルギーと運動量が火星磁気圏を通じて輸送される仕組みの理解
エネルギーと物質が衝突大気に出入りする過程の解明

探査機の仕様
乾燥質量:約209kg
全備質量:約535kg(燃料込み)
サイズ:4.88 x 1.65 x 1.09
電力:火星遠日点で288W発電
推進系:二液式推進剤エンジン

主要な機器
EMAG(エスカペイドMAGnetometer):火星の特殊な混成磁気圏の構造や、太陽風との相互作用を詳細に調べるための重要な観測装置で、2機の探査機に搭載されることで、火星磁気圏の空間的・時間的変動を捉えることが可能になります。

EESA(Escapade静電アナライザー):EMAGネットメーター(磁力計)や、ELPラングミュアプローブと共に、ESCAPADEミッションの主要な科学機器の一つとして、火星の磁気圏と太陽風の相互作用を詳細に調査するために重要な役割を果たします。

ELP(エスカペイド・ラングミュア・プローブ):火星の特殊な磁気圏環境におけるプラズマの特性を詳細に調べるための重要な観測装置で、他の機器と組み合わせることで、火星の大気流出メカニズムの解明を期待されています。

ミッションスケジュール
打ち上げ:2024年10月13日(予定)
火星軌道投入:2025年9月
主要科学観測期間:2026年4月〜2027年3月(11ヶ月間)

この探査機は、火星の特殊な混成磁気圏の構造、イオンの流れを制御するプロセス、太陽風からのエネルギーと運動量の輸送メカニズムなどを解明することが期待されています。

ニュー・グレンの成功は、商業宇宙開発の新たな時代に貢献する可能性があります。