紫金山・アトラス彗星は一期一会の天体現象として注目されています

News

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)は、2023年1月に太陽系の外縁部に位置していたところ発見された非周期彗星で、発見時から徐々に太陽に近づいていて、2024年1月頃に木星の軌道の内側に入り、2024年秋に地球に接近することで注目されています。

発見時、彗星は木星の軌道よりも外側にあり、太陽からかなり遠い位置で発見されたことから、大きな核を持つ彗星である可能性が示唆されています。

彗星の名前は、中国の紫金山天文台と、南アフリカにあるATLAS望遠鏡(小惑星地球衝突最終警報システム)によって発見されたことから、この2つの観測所の名前に由来しています。

非周期彗星とは、太陽系を一度だけ通過するか、非常に長い周期(数千年以上)で太陽の周りを回る彗星のことを指し、その予測不可能という稀少性から、天文学者や天体観測愛好家にとって特別な存在です。

紫金山・アトラス彗星の観測に関する情報

観測のピーク時期
9月27日頃:近日点通過(太陽に最接近)
10月12日頃:地球に最接近し、紫金山・アトラス彗星の最大の明るさで観測可能

日本からの観測条件
10月12日頃の地球最接近時には、日本を含む北半球からの観測に最適な条件となる見込みです。
地平線よりも比較的高い位置で見られるため、空が十分に暗い場所であれば観測しやすくなります。

観測の時期と位置
9月下旬から10月上旬: 朝方の低空で見えるようになる予定
10月9日~12日頃:夕方の低空に見えるようになる予定

発見当初は、金星並みの明るさ(-4等級)になると予測されていて、肉眼で十分に見える可能性が高いとされていましたが、最新の予測では、2024年に入ってからの観測結果に基づき、予測が下方修正されていて、現在の予測では、最大で5等級程度の明るさになる可能性が示唆されています。

5等級程度であれば、空が十分に暗い場所という条件で、肉眼で観測できる可能性がありますが、都市部など空が明るい場所では難しい可能性があります。

2020年のNEOWISE彗星は、最大でも3等級と予測されていたのに対し、実際には0等級と予想を上回る明るさで注目を集めました。

彗星の明るさ予測は非常に難しく、太陽接近時の物質放出量や核の崩壊などによって大きく変動するので、最大で-3等級になる可能性もあります。