東南アジアの生態系は深刻な脅威にさらされています。
現在、トラの生息状況は非常に厳しく、かつての生息地(インド、インドネシア、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、ブータン、マレーシア、ロシアなど)4%にのみ生息していて、絶滅危惧種に分類されています。
20世紀初頭には約10万頭いた野生のトラは、生息地の減少(森林破壊・農地開発)や、乱獲(毛皮・漢方薬)、「スポーツ・ハンティング」の対象などにより急激に減少し、2024年現在、野生下の個体数は約3900頭と推定されています。
アモイトラ(中国華南地方)は、野生では絶滅した可能性が高いそうです。
中国とミャンマーの推定個体数は20頭で、他の国と比べて極端に少ないです。
トラの生息確認活動が困難な理由は
•生息環境の特性
トラは主に密林や山岳地帯など、人間が立ち入りにくい環境に生息していて、アクセスが制限されることが多いです。
•トラの生態
トラは基本的に単独行動をとる夜行性の動物なので、直接観察する機会が非常に限られています。
•広大な行動範囲
トラは行動範囲が非常に広く、特にオスの行動圏はメスの3〜4倍以上の広さを持つことがあり、追跡調査が困難です。
•低密度での生息
トラの個体数が減少しているので、生息密度が低くなっていて、発見や追跡がさらに難しくなっています。
•調査技術の限界
従来の調査方法(足跡調査、糞分析など)では、正確な個体数や分布を把握するのが困難です。
•政治的・社会的要因
一部の地域では、政治的不安定さや社会的制約により、調査活動が制限されることがあります。
•資金と人材の不足
広範囲にわたる長期的な調査には、多額の資金と専門的な人材が必要ですが、これらが不足していることが多いです。
•トラの警戒心
トラは非常に警戒心が強く、人間の気配を感じると姿を隠してしまうので、直接観察の機会がさらに減少します。
これらの要因により、特に東南アジアの熱帯林に生息するトラなどは、調査が非常に難しく、個体数を含め、不明な点が多くなっています。
継続的な調査と新技術の導入(例：カメラトラップ、DNA分析、ドローン調査など)が、より正確なトラの生態や分布の把握に不可欠となっています。
WWFや他の国際機関は、トラの生息数回復を目指し、森林火災対策、違法行為の監視、植林、負傷したトラの救護と治療や、「緑の回廊」プロジェクトのように、分断された森をつなげることでトラの移動範囲を増やし、自然に回復させる取り組みも進められていて、さまざまな保護活動が行われています。
