ヘンリー&パートナーズが発表した「センチミリオネア・レポート2024」によると、世界には現在29,350人のセンチミリオネア(1億ドル以上の投資可能資産を持つ個人)が存在しています。
世界全体では、過去10年間で54%増加していて、特にアメリカと中国での成長が顕著で、世界のセンチミリオネアの約3分の1が、50の主要都市に集中しています。
地域別の成長率
中国：過去10年間で108%増加
アメリカ：過去10年間で81%増加
ヨーロッパ：過去10年間で26%増加
アジアと中東の都市(杭州、深圳、台北、ドバイ、アブダビ)では、2040年までにセンチミリオネアのコミュニティが、150%以上増加すると予測されていて、シンガポールと香港は、2040年までセンチミリオネアの成長率が100%を超えると予想されています。
アメリカのセンチミリオネアがいる主要都市
1．ニューヨーク：744人
2．サンフランシスコ・ベイエリア：675人
3．ロサンゼルス：496人
アメリカのシンクタンク「ザ・カンファレンス・ボード」のデイビッド・ヤング氏は、今後のセンチミリオネアの動向は、2024年のアメリカ大統領選挙の結果に大きく左右される可能性を指摘していて、選挙結果次第では、財政・金融・経済・社会政策に大きな変化が生じる可能性があり、それがセンチミリオネアの成長や、移動パターンに影響を与える可能性を示唆しています。
アメリカの富裕層の間では、国外移住を検討する傾向が強まっていて、投資による移住の問い合わせが2024年に5倍増加しています。
この傾向の背景には、政治的分断や社会的緊張の高まり、そして潜在的な増税への懸念があります。
中国と英国のミリオネア(100万ドル以上の投資可能資産を持つ個人)の流出も顕著で、2024年には中国から15,200人、英国から9,500人が国外へ流出すると予測されています。
センチミリオネアの移住は経済的影響をもたらす可能性があります
•資本流出
巨額の資産を持つセンチミリオネアが国外に移住すると、その国から大規模な資本流出が起こる可能性があります。
中国では2024年に15,200人のミリオネアが流出すると予測されていて、最も多くの富裕層を失う国となっています。
•税収への影響
富裕層の流出は、その国の税収に大きな影響を与える可能性があり、特に未実現利益への課税など、富裕層を対象とした新たな税制が検討されている国では、流出がさらに加速する可能性があります。
•投資環境の変化
富裕層の移住は、彼らが投資先としていた国の投資環境に影響を与える可能性があり、移住先の国では、新たな投資機会が生まれる可能性があります。
•不動産市場への影響
富裕層の移動は、高級不動産市場に大きな影響を与える可能性があり、移住元の国では高級物件の需要が減少し、移住先の国では需要が増加する可能性があります。
•経済政策への影響
富裕層の大規模な移住は、各国の経済政策に影響を与える可能性があり、富裕層の流出を防ぐために、税制や投資環境の改善などの政策変更が行われる可能性があります。
センチミリオネアなどの富裕層の移住は、資本の流れ、税収、投資環境、不動産市場、経済政策など、さまざまな面で経済に影響を与える可能性があります。
各国政府は、富裕層の流出を防ぎつつ、経済の安定と成長を維持するバランスの取れた政策が課題となっています。
