WEF「チーフエコノミスト・アウトルック」リスク要因も指摘

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WEF(World Economic Forum)は、2024年9月25日に最新の「チーフエコノミスト・アウトルック」を発表しました。

WEFのサーディア・ザヒディ氏は、「グローバル経済は安定化しつつあるかもしれませんが、財政上の課題が依然として重大なリスクをもたらしています」と述べ、政策立案者とステークホルダーの協調的な取り組みの必要性を強調しています。

チーフエコノミストの半数以上が、2024年のグローバル経済は弱含みになると予想していて、不確実性が高い状況が続いています

日本経済については、緩やかな持ち直しが続く見込みで、実質GDP成長率は2024年も緩やかな回復基調を維持すると予想されています。

労働市場と金融情勢
2024年には労働市場(77%)と金融情勢(70%)が緩和されるとの見方が大勢を占めています

インフレ期待の縮小
高インフレへの期待は、すべての地域で縮小しているものの、成長見通しは地域によって大きく異なります

地政学的要因
チーフエコノミストの約70%が、地政学的分裂のペースは2024年に加速すると予想していて、これがグローバル経済のボラティリティを高める可能性があります

AI(人工知能)の影響
高所得国では、AIによって生産効率とイノベーションが高まるという回答が多数を占めています

逆風要因
グローバル経済は、逼迫した金融情勢、地政学的対立、AI(人工知能)の急速な進歩といった逆風にさらされ続けています

インフレの緩和と活発な世界貿易により、経済回復への慎重な楽観主義が高まっていますが、高い債務水準が大きな懸念となっていて、将来の経済危機に対する脆弱性を高めています。

債務水準は先進国で53%、開発途上国で64%と高くなっていて、債務返済コストの上昇により、各国政府がインフラ、教育、ヘルスケアなどへの投資を制限される「財政圧迫」の可能性が懸念されています。

チーフエコノミストの39%が、今後1年間に開発途上国で債務不履行が増加すると予想しています。

地域別見通し

アジア太平洋地域:南アジアと東アジア・太平洋地域は比較的良好な見通しで、少なくとも緩やかな成長が予想されています

中国:消費の低迷や不動産市場の懸念から、他のアジア地域よりも弱い成長が予測されています

欧州:2023年9月の調査から見通しが大幅に弱まり、弱い成長または非常に弱い成長が予想されています

米国:約90%のチーフエコノミストが2024年と2025年に緩やかな成長または力強い成長を予測しています

2024年9月の「チーフエコノミスト・アウトルック」は、米国大統領選挙の結果がグローバルな経済政策に大きな影響を与えると、調査対象者の約80%が同意していて、多くの回答者が選挙関連のリスクを今後1年間の主な懸念事項として挙げています。