AIなどの新技術を活用した創薬や治療パターンの予測が広まる

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日本の製薬業界の市場規模は着実に拡大していて、近年では11兆円を超える規模に達しています。

製薬会社の国内市場規模は、今後5年間で29.69%成長し、2029年までに14兆3,082億円に達すると見込まれています。

医薬品市場は、医療用医薬品とOTC医薬品(一般用医薬品)に大別され、日本では生産額の比率は、約9:1で医療用医薬品が圧倒的に大きな割合を占めていて、薬効別では、抗腫瘍剤(がん細胞の増殖を抑制・破壊)が最も大きな市場を形成し、2023年には1兆9368億円に達しています。

世界の医薬品市場は、2022年から2026年にかけて年平均3~6%成長し、2026年には最大で1兆7,800億ドルに達する見込みですが、日本市場の成長率は他の先進国に比べて低く、2022~2026年の年平均成長率はマイナス2%~プラス1%と予測されていて、2026年には日本は世界第4位に下がる見通しです。

日本の主要製薬企業の売上高トップ5  
 1.武田薬品工業:約4兆2,638億円
 2.大塚ホールディングス:約2兆186億円
 3.アステラス製薬:約1兆6,037億円
 4.第一三共:約1兆6,017億円
 5.中外製薬:約1兆1,114億円

※これらの数値は2024年3月期決算に基づいています。

製薬業界は研究開発費の比率が高いことも特徴で、例えば武田薬品工業の研究開発費は、売上高の17.1%に達しています。

2023年の国内医療用医薬品市場は11兆2,806億円で、前年比3.1%増となり、2年連続で過去最高を更新し、初めて11兆円を突破しています

国内市場の現状
 •病院(100床以上): 5兆2,872億円 (前年比4.1%増)
 •病院(100床未満): 2兆1,022億円 (前年比1.6%増)
 •薬局・その他:3兆8,912億円 (前年比2.6%増)

薬効別市場規模
 •抗腫瘍剤:1兆9,368億円 (10.5%増)
 •糖尿病治療剤:7,147億円 (6.8%増)
 •免疫抑制剤:6,109億円 (8.4%増)

製品別売上高ランキング
 1.オプジーボ(小野薬品工業): 1,662億円(9.0%増) ※抗悪性腫瘍剤
 2.キイトルーダ(MSD): 1,593億円(24.2%増)  ※抗悪性腫瘍剤
 3.リクシアナ(第一三共): 1,315億円(12.9%増)  ※直接経口抗凝固薬

政府は医療費抑制のため、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を積極的に推進していて、長期収載品(特許期間が満了した先発医薬品)から後発医薬品への切り替えが進んでいます。

2024年10月から導入される制度により、患者が長期収載品を希望する場合に追加負担が生じるため、さらに長期収載品の使用が減少する可能性があります。

診療報酬改定において、後発医薬品の使用割合に応じた加算が設けられるなど、医療機関や薬局が後発医薬品を積極的に使用するよう促しています。

日本の医薬品市場は長期収載品の割合が減少し、新薬開発、海外市場への展開などの割合が増加する傾向にあります。

デジタル技術やゲノム解析などの新技術の重要性が高まっていて、これらの分野への投資が今後、重要になる可能性があり、異業種からの参入や、業界再編が進むなど、企業間の競争が激化する可能性があります。