SpaceXがNASAのU.S. Deorbit Vehicle(米国軌道離脱機)開発を担当

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NASAは、2030年に運用を終える予定の国際宇宙ステーション(ISS)の処分にスペースXの宇宙機を使用する計画を発表しました。

開発契約の総額は最大8億4300万ドル(日本円で約1350億円)です。

処分方法は、NASAとスペースXによって以下の手順で進められる予定です

1.専用宇宙機の開発
NASAは、ISSを安全に処分するために、現在、物資輸送に使用されているSpaceXの宇宙機「ドラゴン」をベースに、「U.S. Deorbit Vehicle(米国軌道離脱機)」と呼ばれる専用の宇宙機を開発する計画を立てていて、この宇宙機は、ISSを制御された状態で軌道から離脱させ、大気圏に再突入させるためのもので、宇宙版のタグボートのような役割を果たします。

2.制御された再突入
ISSはそのまま自然に大気圏に突入させるのではなく、制御された方法で再突入させる計画で、
ISSの大きさ(サッカー場ほどの大きさ)と重量(約430トン)を考慮すると、宇宙で解体して地球に戻すのは困難であるためです。

3.海洋への落下
再突入後、ISSは大気圏で燃え尽きるように設計されていますが、完全に燃え尽きなかった残骸は、人口密集地から遠く離れた海上の狭い範囲に落下させる計画で、地上への影響を最小限に抑えることができます。

国際宇宙ステーション(ISS)の運用が2030年に終了する理由は

•老朽化と維持費用
ISSは老朽化が進んでいて、その維持と運用には多大な費用がかかります。
NASAはISSの維持管理に年間約35億ドル(日本円で約5500億円)を投じていて、このコストは他の宇宙探査ミッションに資金を振り向けるために削減する必要があります。

•技術的問題と冗長性の確保
現在、ISSの軌道離脱能力はロシアの「Progress(プログレス)」貨物機に依存していますが、これには冷却水の漏洩問題が発生していて、信頼性が低下しています。
NASAはこの依存を軽減するために、専用の「スペースタグ(離脱機)」を開発し、ISSを制御された状態で大気圏に再突入させる計画を立てています。

•新しい宇宙ステーションの開発
NASAとアメリカ議会は、ISSの代替となる新しい宇宙ステーションを軌道上に設置することを望んでいて、ISSの運用終了後も地球低軌道での活動を継続し、民間企業との協力を強化することが可能になります。

•将来のミッションへの資金振り向け
ISSの運用終了により浮いた予算は、月や火星、さらには深宇宙探査ミッションに使用される予定で、NASAはより遠大な目標に向けた探査活動を推進することができます。

この計画は、SpaceXがNASAの重要なパートナーとしての地位を確立し、国際宇宙探査において中心的な役割を果たしていることを示していて、ISSの処分は複雑で慎重を要する作業であり、SpaceXの技術と経験が重要な貢献をすることが期待されています。

この計画の詳細や具体的なタイムラインについては、今後さらなる情報が公開されると予想されています。